
コピーライターで花屋の元店員です。サギソウの花言葉には、清純さや繊細さ、そして古くからの伝説が込められています。純白の花弁が白鷺のように広がるその姿は、日本の夏を彩る植物の中でも特別な存在感を放ちます。今回は、サギソウの花言葉の由来や栽培方法、プレゼントとしての魅力まで詳しくご紹介します。
サギソウとは?基本情報

- 分類:ラン科サギソウ属
- 学名:Habenaria radiata
- 原産地:日本、中国、朝鮮半島
- 草丈:20〜50cm程度
- 花期:7〜9月
- 特徴:白い花びらがシラサギ(白鷺)が羽ばたいているような形をしていることから「サギソウ」と呼ばれます。花びらの先が細かく裂け、優雅で繊細な雰囲気を持ちます。
良さ
- 見た目の美しさ
純白で繊細な花形はまさに空を舞う白鷺のよう。涼やかで夏の庭や鉢植えにぴったりです。 - 希少性と保護価値
自生地の減少や環境破壊で野生のサギソウは絶滅危惧種に指定されています。育てることで保全活動にもつながります。 - 育てる楽しさ
球根性で、春に植えて夏に開花。鉢植えでも育てやすく、花後に球根を掘り上げて翌年も楽しめます。
サギソウの花言葉

- 純粋
- 真っ白な花びらと繊細な形から、心の汚れのない清らかさを象徴します。
- 恋愛に限らず、人間関係や心のあり方を表す花言葉として使われます。
- 繊細
- 花びらの細やかな裂け目や羽のような形が、はかなく壊れやすい美を連想させます。
- 大切に守りたい存在への想いを込めて贈られます。
- 清楚
- 派手さはないが、静かで上品な雰囲気が和の美意識に通じます。
- 女性や若者への贈り物に適した花言葉。
- 発展
- 鷺が大きく羽を広げて飛び立つ姿を思わせることから、未来への飛躍や成長を意味します。
- 開業祝いや門出のプレゼントにも縁起が良いとされます。
サギソウの花言葉~色別ver

基本的に純白の花しかサギソウは自然界には存在しませんが、園芸種や品種改良で淡い桃色や紫がかった色合いの花も作られています。
そのため、色別の花言葉は「全般的な意味」をベースにしつつ、色彩の持つ象徴性を組み合わせたものになります。
色別花言葉
白色のサギソウ
- 花言葉:純粋・清楚・繊細・発展
- 意味の背景
自然界に存在する基本色。真っ白な花弁は「清らかな心」「無垢」を象徴します。
羽ばたく鷺の姿は飛躍や未来への成長を連想させます。 - 贈るシーン:結婚式、出産祝い、人生の門出
淡桃色(ピンク)のサギソウ
※主に園芸品種
- 花言葉:優しさ・愛らしさ・初恋
- 意味の背景
桃色は愛情や柔らかさを象徴。純白のサギソウの清楚さに加え、ロマンチックな印象が加わります。 - 贈るシーン:恋人への贈り物、母の日、感謝の気持ちを伝える時
淡紫色(ラベンダー系)のサギソウ
※極めて珍しい品種
- 花言葉:憧れ・品格・神秘
- 意味の背景
紫は古くから高貴な色とされ、神秘や気品を表します。サギソウの優雅な形と相まって、特別感のある花言葉に。 - 贈るシーン:尊敬する人、特別な記念日の贈り物
黄緑がかった白(ライムホワイト系)のサギソウ
※新しい改良品種
- 花言葉:希望・芽生え
- 意味の背景
緑がかった白は「新緑」を連想させ、新しい出発や未来の可能性を象徴します。 - 贈るシーン:進学、就職、起業祝い
ちなみに、天然のサギソウはほぼ純白で、色つきはすべて人為的な交配や突然変異によるものです。
野生の色は変わらない分、花言葉の本質は「白色」の意味が中心ですが、園芸愛好家の間では色ごとのメッセージも楽しむ文化があります。
サギソウの花言葉の由来

この花の花言葉は、花の形の美しさ・色彩の純白さ・歴史的な伝承の三つから生まれています。
1. 花の形からの由来
- サギソウの花弁は細かく裂け、白鷺(シラサギ)が翼を広げて飛び立つ姿にそっくりです。
- この優雅な形が「繊細」「発展(飛躍)」という花言葉の基礎になりました。
- 特に「発展」は、鷺が空高く飛び立つ姿を未来への成長や成功にたとえたものです。
2. 純白の花色からの由来
- 自然界のサギソウは真っ白で、汚れを感じさせない清らかさがあります。
- この色が「純粋」「清楚」という花言葉の由来となりました。
- 白は古来、日本で「潔白」「神聖さ」を象徴する色であり、祭事や儀礼でも重要視されてきました。
3. 伝承・物語からの由来
サギソウの花言葉には、戦国時代に語られた切ない恋物語が大きく影響しています。
薄田隼人正兼相(すいた はやとのしょう かねすけ)と恋人の伝説
- 兼相は戦のため愛する女性と離れ離れになります。
- 女性は彼を想い、形見の着物の片袖を白鷺に託し届けようとします。
- しかし白鷺は途中で捕らえられ、そのまま命を落とします。
- 後日、その鷺が落ちた場所から純白の花が咲き、それがサギソウになったと伝えられています。
この物語から、サギソウには**「純愛」「繊細な想い」**という意味合いが重なりました。
由来まとめ
- 純粋・清楚 → 花色(純白)から
- 繊細 → 花弁の形やはかなさから
- 発展(飛躍) → 白鷺が空に舞い上がる姿から
- 純愛 → 戦国時代の悲恋伝承から
サギソウの花言葉は怖いの?

サギソウの花言葉自体は「純粋」「清楚」「繊細」「発展」など、とても前向きで美しい意味が多く、基本的には怖い要素はありません。
ただし、「怖い」と感じられる背景が少しだけあります。
怖いと感じられる理由
1. 花言葉の裏にある悲恋伝説
サギソウの由来として有名な、戦国時代の薄田隼人正兼相と恋人の物語は、非常に切ない結末です。
- 恋人が形見の着物の袖を白鷺に託して届けようとする
- 白鷺は途中で捕らえられ、命を落とす
- その地から純白の花(サギソウ)が咲く
この話が「命を落とした鷺の化身」「未練の象徴」というふうに語られる場合もあり、そこから「怖い」と感じる人がいます。
2. 幽霊や儚い魂との結び付き
- 純白の花は日本の文化で「死者の魂」「幽霊の衣装(白装束)」を連想させることがあります。
- 伝承の中で、亡くなった鷺が花に生まれ変わるという設定が、幽霊や怨霊を連想させる人もいます。
3. 花の儚さ
- サギソウの花はとても短命で、咲いてから数日で散ってしまいます。
- この「すぐに消えてしまう美しさ」が、「はかない命」や「別れ」を連想させる場合があります。
由来が怖いと思わせてる
- 花言葉そのものは怖い意味を含まない(むしろ美しく前向き)
- ただし、由来となった物語や日本文化での白花の象徴性が、「怖い」と感じられる要素を生んでいる
- そのため、贈る際には「純粋な想い」「成長や飛躍を願う意味」など、前向きなメッセージを添えると安心
サギソウの花言葉~海外ver

「サギソウ(Habenaria radiata)の海外での花言葉」についてですが、一般的に海外での花言葉(floriography)は、ヨーロッパやアメリカを中心に確立されたものが多く、日本固有の植物であるサギソウには、国際的な定義や広く知られた「花言葉」は存在しないようです。
海外における花言葉の状況
- 国際的なフラワーワード辞典や花言葉に関する資料を確認しましたが、サギソウ(Japanese Egret Orchid)固有の花言葉は記載されていません。
- 多くの西洋圏の花言葉は、バラやユリ、チューリップといった一般的な花にとどまり、サギソウのような珍しい植物は含まれていない傾向があります。
- その代わり、海外ではその見た目や名前に由来する象徴性が注目されることが多く、「羽ばたく鷺」「神秘的な蘭の姿」など、印象的なイメージとして受けとめられています。
海外での象徴的な受け止め方(花言葉ではなく「象徴」や「印象」)
- 純白のエレガンスと神秘性
純白で繊細な花姿は、純粋さや神秘性、優雅さ、儚さといった概念と重なります。これは「白い蘭」全般に向けられる印象にも似ています。 - 日本の文化との結び付き
「Japanese Egret Orchid」という名前から、日本の伝統や湿地文化、和の美的感性が感じられる花という印象があるようです。こうした背景が、花束や盆栽愛好家の話題になることがあります。 - 園芸愛好家による象徴づけ
実際、欧米のガーデニングフォーラムやSNSでは、「幻想的」「希少」「清らか」など、自分たちなりのイメージで“セリフ”を添えて紹介されています。ただし、花言葉として体系化されたものではありません。
まとめ:海外では「花言葉」は存在しないが、印象や象徴として語られることはある
ポイント | 内容 |
---|---|
花言葉 | 海外には公式な花言葉は存在しない |
受け止め方 | 純白・神秘・日本らしさ・幻想性などの象徴として好意的に扱われる |
注目点 | 名前や形が印象的なため、ガーデニング愛好家やSNSユーザーにとって魅力的なテーマとなることがある |
サギソウの面白いエピソード

- 名前の由来
江戸時代から「鷺草」の名で親しまれており、俳句や和歌にも登場します。特に白鷺が水面から飛び立つ瞬間の姿に似ていることから命名されました。 - 伝説的な恋物語
戦国時代の武将・薄田隼人正兼相(すいたはやとのしょうかねすけ)と恋人の物語が有名です。兼相が戦で離れ離れになった恋人が、自分の形見の着物の袖をサギに託して届けようとし、そのサギが途中で捕らえられ、袖から芽吹いたのがサギソウになったという切ない伝承があります。 - 東京のシンボル的花
東京都東村山市の市花であり、市内では毎年「サギソウまつり」が行われています。
サギソウの育て方

夏の鉢植えや観賞用、特に湿地を好むラン科の植物であり、栽培時期や環境管理のコツを押さえることで、毎年美しい花を咲かせることができます。
栽培の基本知識
サギソウ(鷺草)はラン科の多年草で、属名は「Habenaria radiata」。日本では関東以西の湿地や草原に自生してきました。花の長さは3〜4cmほどで、花期は7月から9月。純白の花弁が白鷺の羽を広げたように見えることから名前が付けられました。
栽培では春に球根を植え付け、湿度を保ちつつ日当たりの良い場所で育てます。用土は水はけと保水性のバランスが取れたものが適しています。
開花時期と見頃
サギソウの開花時期は7月下旬から8月中旬がピークです。特に夏祭りや盆の季節に合わせて咲くため、観賞価値が高く、花屋でも人気が集中します。見頃を逃さないためには、春の栽培管理が重要で、適切な肥料と水やりが開花を左右します。
育てる環境と注意点
湿地性植物であるため、乾燥は大敵です。鉢植えの場合は腰水栽培が推奨されますが、水が腐らないよう清潔な状態を保つことがポイント。また、真夏の直射日光は葉焼けを起こす可能性があるため、半日陰が最適です。冬は球根を掘り上げ、乾燥した涼しい場所で保管することが翌年の開花につながります。
サギソウの関連情報

サギソウは単なる観賞植物ではなく、日本の文化や歴史と深く結び付いています。名前の由来や伝説はもちろん、海外での評価や地域ごとの自生状況も知ると、さらにその魅力が広がります。
サギソウの季節ごとの特徴
春は芽吹きの時期で、細長い葉が伸び始めます。夏になると純白の花が一斉に開き、繊細な形が涼やかな印象を与えます。秋には地上部が枯れ、球根が休眠状態に入り、冬は土中で静かに次の開花を待ちます。この季節ごとの変化もサギソウ観賞の楽しみのひとつです。
海外でのサギソウの人気
サギソウは日本特産の植物として海外でも注目され、園芸愛好家の間では「Japanese Egret Flower」と呼ばれます。特にヨーロッパやアジアの一部では、その神秘的な形と清純なイメージから希少価値が高く、展示会や植物博でも人気を集めています。
世田谷区におけるサギソウの自生状況
東京・世田谷区は、かつてサギソウが多く自生していた地域として知られています。特に世田谷城址や常磐頼康ゆかりの地では、湿地環境が維持され、かつては一面に鷺草が咲き誇っていました。現在では保護活動が行われ、毎年8月には「サギソウまつり」が開催され、地域の象徴として親しまれています。
サギソウのプレゼントにピッタリな理由
花屋時代、お客様から「何か特別な意味を持つ花を贈りたい」という相談を受けた際、よくおすすめしたのがサギソウです。花言葉や見た目の美しさが、贈るシーンをより感動的に演出します。
誕生花としての魅力
サギソウは8月の誕生花として知られています。花言葉「清純」「繊細」は、夏生まれの方の爽やかで優しい印象と重なります。誕生日プレゼントとして贈れば、その人の個性を讃える意味合いが加わります。
神秘的な存在感とその魅力
純白の花弁と空を舞うようなフォルムは、どこか神秘的で幻想的です。花言葉の由来には、白鷺に恋文を託した娘の伝説や、日本の歴史と結び付いた物語があります。そうした背景を添えて贈ることで、花の価値がより深まります。
人気の品種紹介
近年は、純白だけでなく淡い桃色やライムホワイトの改良品種も登場しています。中でも「常盤鷺草」は花付きが良く、初心者にも育てやすい品種として人気です。また、花の形がより大きく華やかな園芸種もあり、観賞用としてのバリエーションが広がっています。
サギソウの他は?日本で人気の花々
以下、日本で人気の高い花10種類を、それぞれの魅力とともにご紹介します。
- 桜(サクラ)
日本の春を象徴する花で、開花時期には全国で花見が行われます。短い花期が儚さと美しさを強調し、季節の移ろいを感じさせる魅力があります。 - 薔薇(バラ)
色や品種が豊富で、花言葉も多彩。豪華で香り高く、庭園から花束まで幅広く愛されています。特に贈り物や記念日の花として人気です。 - チューリップ
可愛らしい形とカラフルな色合いが特徴。春の訪れを告げる花として、家庭や公園の花壇に広く植えられます。品種改良により長く楽しめるのも魅力です。 - 紫陽花(アジサイ)
梅雨の風物詩で、土壌のpHによって花色が変化します。雨に映える姿が美しく、庭や寺院の景観を彩ります。 - 向日葵(ヒマワリ)
夏の太陽を象徴する明るい花。大きな花と鮮やかな黄色が元気を与え、観賞用やイベントの背景としても人気です。 - 牡丹(ボタン)
「花の王」とも称される豪華な花姿が魅力。春から初夏にかけて咲き、その華やかさと存在感で庭園を彩ります。 - 椿(ツバキ)
冬から早春にかけて咲き、光沢ある葉と整った花姿が特徴。日本文化や茶道にも深く結び付きます。 - 菊(キク)
日本の国花の一つで、秋を代表する花。長く咲き続けるため、観賞用から祭礼まで幅広く活用されます。 - 藤(フジ)
長く垂れる花房と優雅な香りが魅力。藤棚の下から見上げる景色は日本ならではの風情を感じさせます。 - 梅(ウメ)
冬の終わりから早春にかけて咲き、香り高く凛とした姿が特徴。古くから春の訪れを告げる花として愛されています。
まとめ
サギソウは、日本の湿地に自生するラン科の植物で、その純白の花は白鷺の羽ばたきを思わせます。花言葉は「清純」「繊細」「発展」など前向きで美しい意味を持ち、伝説や文化的背景がさらに魅力を引き立てます。育てやすさと観賞価値、そして特別な意味を持つ花として、誕生花やプレゼントに最適です。
花屋での経験からも、サギソウは贈る人と受け取る人の心に深く残る植物だと感じます。もし庭や鉢で育てるなら、季節ごとの変化や開花の喜びをぜひ味わってみてください。その繊細な美しさと神秘的な存在感は、きっと日々の生活に彩りを与えてくれるはずです。
ライター紹介 Writer introduction

さとすけ
花屋で働いてた日本男児(O型) コピーライターの経験も活かし花に関して、わかりやすく&信ぴょう性がある記事作りを心掛けながら配信中。 instagramでは「動く!4コマ漫画~花言葉劇場」を投稿しています。
